ソーラーシェアリング

ソーラーシェアリングとは?
ソーラーシェアリングとは、田んぼや畑などの農地で農業と太陽光発電事業を両立させる仕組みです。2013年3月に農林水産省が「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」という、一つの通達を出しました。この「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備」がソーラーシェアリングです。
ソーラーシェアリングは、農地を雑種地などに転用して野立ての太陽光発電設備を建設するのではなく、農地のままで、農業を行える空間を確保した支柱の上に太陽光パネルを設置するという、今までにない新しい仕組みです。
ソーラーシェアリングの仕組みとは?
ソーラーシェアリングの仕組みの根幹を成しているのが、「農地の一時転用」という取り扱いです。農地の用途を変更するためには農地転用という手続きを取り、例えばアパートや駐車場を建設します。この場合、農地転用された土地は農地ではなく宅地や雑種地といった扱いになり、土地の「地目」が変わります。また、その転用の効力に期限はありません。
一方で、ソーラーシェアリングのための一時転用の場合には土地そのものは農地のままの扱いとなり、太陽光発電設備の支柱などが設置されている部分だけ、一時的な転用を行うという特別な扱いになります。そのため、ソーラーシェアリングでは支柱以外の部分でしっかりと農業を行っていくことになります。支柱を立てて太陽光発電設備をその上に設置しても、それは土地の一部だけで、しかも一時的なものという扱いなので「地目」も農地のままです。ただし、その転用が認められる期間には限りがあり、ソーラーシェアリングの場合には3年間となっています。そして、例えばFITが適用される20年という期間の発電事業を行っていくには、3年毎に一時転用許可を再取得することを繰り返すという形になるのです。
このように3年間という期限付きではありますが、一時的な転用であるという特別な扱いのため、通常は農業以外の用途とすることが認められない農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地でもソーラーシェアリングは設置可能です。
ソーラーシェアリングの条件は?
ソーラーシェアリングは農用地区域内農地・甲種農地・第1種農地でも設置が可能ということで、一見すると太陽光発電事業の幅を大きく広げる仕組みのように見えます。しかし、どんな設備や形態であっても太陽光発電設備の設置を認めるというわけではなく、一時転用許可を受けるには多くの条件が設けられています。主な条件を下記にまとめました。
- 簡易な構造で容易に撤去できる支柱であること
- 一時転用許可を得る面積が必要最小限で適正と認められること
- 発電設備の下の農地で適切な営農が確実に継続されること
- 農作物の生育に適した日照量を保つための設計となっていること
- 支柱の高さが最低2m以上で、支柱の間隔を含めて効率的な農業機械等の利用が可能となっていること
- 周辺の農地の効率的な利用などに支障を及ぼさないこと
- 設備を撤去するのに必要な資金や信用があること
- 発電設備を電力系統に連系する場合は、電気事業者との契約を締結する見込みがあること
更に、ソーラーシェアリングでは「営農の適切な継続」が必須条件とされますが、農林水産省の通達では、下記の条件に当てはまった場合には営農の適切な継続が確保されていないと判断されるとしています。
- 営農が行われていない
- 発電設備の下の農地における作物の単収が、同じ年の地域の平均的な単収と比較しておおむね2割以上減少している
- 発電設備の下の農地で生産された農作物の品質に、著しい劣化が生じている
- 農作業に必要な農業機械等を効率的に利用することが困難
また、その他の注釈として
- 設備の設置に際しては農閑期に行うことが望ましい
- 設備の設置を契機として農業収入が減少するような作物転換等をすることがないようにすることが望ましい
といった条件も付されているのです。
とにかく「農業のための自然エネルギー発電事業」という方針が一貫していますから、ソーラーシェアリングの実施にあたってはここに挙げた条件を遵守していく必要があります。